1 増加する破産案件

中国の最高人民法院は、2016年8月より「全国企業破産 重整案件情報網」というHPにおいて、全国の破産案件に 関する情報を公開しているが、当該HPにて1年ごとに破 産審査案件数及び破産案件数を検索した結果は以下の表 のとおりである。これを見ると、中国の破産案件数は近 時増加の一途をたどっていることがはっきりと見て取れ る。

http://pccz.court.gov.cn/pcajxxw/index/xxwsy 

2 中国の倒産制度

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(1)分割前の債権債務(1)分割前の債権債務第1 はじめに

中国子会社が複数の事業を営んでおり一部の事業を 切り離したいような場合、優良事業と不良事業とに分 ける方法がある。具体的には①会社分割、②事業譲渡 といった方法がある。これらの方法は中国子会社を再 編する方法として有効である。

第2 会社分割

1 会社分割とは

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1 中国を取り巻く環境の変化

一昔前までの中国は、世界の工場として、世界中 の生産性企業がその安価な労働力を求めて進出して いたが、中国の経済成長に伴い労働コストが増加し た結果、中国国内のより安価な地域や東南アジア等 の第三国に生産拠点を移したり、中国国内の事業を 整理・統合したりするなどの動きが出てきている。

近時、中国経済の先行きが不透明であることから、 中国子会社の再編・撤退を考えている企業も少なか らずあるのではないかと思われる。そこで今回から 複数回に分けて「中国子会社の再編・撤退」と題し て、中国子会社の再編・撤退にはどのような方法が あるのか、それぞれの方法の手続はどうすればよい のか、またどのような点に気を付ける必要があるの か等についてご紹介することとしたい。

2 選択肢は現状維持か撤退かだけではない

日本本社が中国子会社の業績を判断する場合、中 国子会社の事業全体をひとくくりにして見ることが 多いのではないかと思われる。すなわち中国子会社 が最終的に赤字であり改善の見込みがなければ撤退、 黒字であるもしくは赤字幅が少なく改善の見込みが あるということであれば現状維持という判断になる 傾向にあると思われる。

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第1 はじめに 

本シリーズの最後となる今回は、撤退の場合における 解散・清算・破産について説明したい。前回記載した通 り、買主が見つかれば、持分譲渡手続が最も迅速かつ簡 便であるが、買主が見つからない場合には、解散・清算 か破産を選択することになる。

中国法人の資産が負債よりも多く、すべての債務を支 払うことができる場合には解散・清算手続が可能であ る。他方で債務超過になっている場合には、破産手続に よることになる。バランスシート上の資産が負債より多 い場合であっても、実際には資産価値が毀損している場 合があるため、解散・清算が可能かどうか予めシミュレ ーションしておく必要がある。

第2 解散・清算について

1 解散・清算の概要

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1 はじめに

中国に現地法人を有する日系企業が中国からの撤退を考 える場合、大きく分けて、第三者に対する持分譲渡、清算及 び破産の3つの方法があります。買主が見つかれば、持分譲 渡手続が最も迅速かつ簡便ですが、買主が見つからない場 合には、清算か破産を選択することになります。以前は外資 の中国子会社が破産を申し立てたとしてもなかなか受理され なかったのですが、現在では認められるようになり、破産も選 択肢の一つとなっています。本稿では清算と破産に関する法 制度と現状をご紹介したいと思います。

2 清算か破産かの判断基準

中国子会社の資産が負債よりも多く、すべての債務を支払う ことができる場合には清算手続が可能です。他方で債務超 過になっている場合には、破産手続によることになります。た だし、BS上の資産が負債より多い場合であっても、実際には 資産価値が毀損している場合があるため、清算が可能かどう か予めシミュレーションしておく必要があります。

3 清算手続の概要

中国における清算手続の流れは以下の通りです。

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